パスタ

私は実はLinguineというパスタが好きです。日本ではあまり馴染みがない(というか比較的売っていることが少ない!)かもしれませんが、要はスパゲッティと同じ感じなのですが、よく見ると丸の棒状ではなく、平べったいんです。今までは、普段あまり売っていないので、スーパーに行くと普通のスパゲッティを買っていました。ですが、いつも普通のスパゲッティには不満がありました。

ラグーソースのようないわゆるミートソースの場合はスパゲッティも美味しいのですが、シーフード系、例えばペスカトーレを作るとなんか美味しくないんです。

ですが先日ふとしたきっかけで、このLinguine(日本ではリングイネと書いてあるかも)をネットで見つけて買いました。そして、それでイカとアサリのパスタを作ったところ、とっても美味しい、、!でも、私は15年間のアメリカ生活でこのLinguineをたくさん食べたので、これは単にノスタルジー?とも思い、今一度ちゃんと味わってみました。

いや!単に気持ちではなく、確かに違う!!

よく考えて味わって思ったのは、、多分ですが、形状が平べったいことで、まん丸のスパゲッティよりソースやスープが絡みやすい、そして、形状が均等に丸いわけではないので、茹でた時に茹で上がり方が部分によって異なるためにアルデンテ感が強い、、のかもしれないと思いました。

こんなの、私は料理は非常に頻繁にしますが、決して料理のプロでもなんでもないので、全く間違っているかもしれません.ただ、パスタの形状でこんなに食感だけでなく全体の料理の味も違うんだということにびっくりしました!ということは、他にもいろいろな形状のパスタがありますが、あれ、全部何らかの目的であの形状なのかもしれません。

脳は食感だけでなくそのに関連して舌の上でどのような味わいになるか、風味、匂い、、その他様々な要素からの情報を統合して味というのを感じているんですね。いやー、人の脳はすごい!!ということは、よくある「食レポ」なんて全く無意味です。言葉で表現できるような単純なものではないはずなので。

音楽も全く同じだと思います。ある偉大なクラシックのピアニストが「音楽は学校では絶対に教えられません」と言っているのがYouTubeにありますが、音楽も、丸と平たいパスタのように、微妙なものに影響されるのだと思います。それは、単にメロディーとか、ハーモニーとか楽器の演奏の仕方とかといった学校で教えるものだけではなく、音色やその他いろいろなものを統合して脳は音楽を感じるのだろうなと思います。学校では、見た目だけを気にしているような学生に「もっと音楽を大切にしろ」とか言ったりしますが、もしかして見た目を気にする学生は、言葉にできな部分を見ようとしている点だけを考えると、音楽の真髄をついているのかもしれないとさえ言えるのかもしれません。なぜかというと、リスナーに、「言葉にできない」アピールをしているからです。

私は37年間、アメリカ・日本で大学という場で音楽を教えてきて、この部分が音楽大学の大きな問題なのだろうなと思います。よく、大学では、音楽の基本とか、「概論」とかいう言葉を使います。

丸いパスタと平たいパスタに違いを感じることを理解するための基本とは何ですか?概論(総括的なコンセプト)は何ですか?

絶対誰も答えられません。それがまさに音楽なのだと思います。

だとするならば、アーティストも教育者も教育機関も、音楽を聞いてもらう方法、教育する方法も全て含め、新しい視点で物事を見ていく時代が訪れつつあるのかなと思います。それをしないとそのうちAIに負けますよね、、、

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