脳って

以前私が個人で教えていたピアノの生徒が音楽活動を行うことについて、お父さんが大反対であったことがあります。そのお父さんは当時警察の管理職をなさってた方で、理由は「ジャズミュージシャンは全員犯罪者だ」ということでした。

もちろんこれは極端な発言ですが、ジャズの歴史を考えると、一般の方がミュージシャンを見て、犯罪者だと思うのは一概に否定できない部分もあります。

ジャズのご先祖様とも言える、ルイアームストロングは、若い頃から死ぬまで毎日マリファナを吸っていたそうです。その他、ジャズミュージシャンと麻薬は深いつながりにありました。昔、80年代にNYにあったSeventh Avenue Southというジャズクラブの地下は阿片窟のようだったそうです。私は個人的に麻薬などの薬が合わないのでアメリカでもやりませんでしたし、お酒は好きですが、ちょっと音楽的な理由で、お酒を飲んでピアノを演奏することもほぼ確実にありません。ですが、ジャズもロックもミュージシャンとお酒・薬は常に共にあったと言っても言い過ぎではないと思います。

これがいいことが悪いことか、社会的・医学的な意見は私には言えません。きっと、ミュージシャンたちがお酒や薬に求めていたものは、脳のリラックスなんだろうなと思います。脳のリラックスはできるだけ考えることが少ないことで可能になると思います。

きっと人は誰でも考えない状態を知らず知らずに求めているのではないでしょうか?

大音量のロック、これも脳を考えることから離れさせる一つの手段です。

リヒテルというクラシックの偉大なピアニストは、コンサートでステージのライトを消しました。これも同様の効果です。もっと遡るとバッハという作曲家のゴールドバーグバリエーションは非常に長い作品です。当時の刺激の少ない世界観で考える必要はあるものの、長い作品を聞いているとトランス状態というか、脳が考えない状態になりやすいのではないかと思います。

その他、禅で使われる、竹が水でコンという音を立てる、「ししおどし」や、インドネシアのガムランも、これは、数え上げるとキリがないくらい、人間が「考えないこと」を本能的に求めているのではないかという例が数限りなくあります。

私には、自分の信じる宗教というものはありません。また、何かの自己啓発団体に所属しているわけでもありません。ただ、人間というものに興味があって、その人間を動かしているのが、脳であるので、そこに深い興味があります(医学的にではなく感覚的に)。

時々、自分の脳が今何をしてるか、観察してみませんか?知らないことだらけで面白いですよ!

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